吉備の国珈琲焙煎所

おいしいコーヒーが世界をつなぐ「幸せになるCofee」

コーヒーからつながる「幸せ」について考えてみませんか。今回は、「コーヒーの日」にちなんで収穫までの道のりを紹介します。

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vol.8

コーヒー収穫までの大地の恵みと多くの手間暇

2020.09.11

 「10月1日はコーヒーの日」。世界一のコーヒー生産量のブラジルで、収穫が終わり、新しいコーヒー豆が出回り始める年度始めとなることから、国際協定で決められました。世界のCoffee New Year なのです。

 1本のコーヒーの木で何杯分のコーヒーが収穫できるか、ご存じですか。品種や産地により異なりますが、およその目安は400gといいます。たったの40杯分! 1日2杯飲む人の1カ月分にもなりません。

 収穫方法は、ブラジルなどの平地の大規模農園ですと、機械で木を揺すって実を落とし採る方法が主です。小規模農園や、高級コーヒーになる高地栽培だと険しい場所で山の斜面もきついので、機械は入れず人の手で採るしかありません。枝ごとにしごいて採る方法と、完熟した豆だけ選んで採る方法があります。

 スペシャルティコーヒーで見られる「完熟手摘み」は後者で、手間と時間もかかります。収穫時期だけ雇われ、摘んだ量に対して賃金が払われる方法だと、量をかせぐため未成熟な豆も入れてしまいます。高品質なコーヒーにするためには、丁寧な仕事をしてもらえる賃金体制も必要になってきます。

 「桃栗三年柿八年」といいますが、コーヒーの木は、種まきから実をつけ始めるまで約3年かかります。生産ピークは6~10年。切り戻しなど剪定(せんてい)により生産力を若返らせ、長くて30年程度。当店で人気の最高級コーヒー、「ブラジル セルトン農園の樹齢百年レッドブルボン」がどれだけ希少か想像されます(味わいも奥深い余韻の響く名品です)。

 私たちがいただくおいしい一杯のコーヒーのために、生産国でどれだけの力が注がれていることか。自然の恩恵と、長い年月と膨大な手間暇に思いを巡らせる「コーヒーの日」になれば幸せです。

文・イラスト:「吉備の国珈琲焙煎所」店主・藤原 京華
けいか

岡山・倉敷のコミュニティ紙『さりお』2020年9月11日号掲載